中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4021回
中近東は体制の入れ替わる時期に

エジプトにはじまって、いま中近東からアフリカの国々では
政権を揺がすような騒動が次々と起っています。
エジプトにはピラミッドやスフィンクスの観光のために
ずいぶん昔に訪ねたことがありますが、
いまガタガタしている国はずっと後廻わしにしてきました。

それでも資源国として注目を浴びるようになったので、
次はどこに行こうかと
世界地図を拡げて睨めっこをしていたところで、
将棋倒しにガタが来てしまいました。
中国の新聞を見ていると、
アフリカ在住の中国人の安危を伝えるニュースが
次々と報道されています。
アフリカに滞在する日本人は
全部集めても8000人いるかどうかでしょうが、
中国の場合はリビアで働いている中国人だけで3万人もいて
暴動の発生で
身ぐるみ剥がされるような目にあわされているそうです。

そうした緊急事態におかれた中国人の引揚げのために、
中国の航空機が2機現地に飛んでいると新聞は伝えていますが、
アフリカに出稼ぎに行っている中国人は
全部あわせると100万人にのぼるのではないかと言われています。
その点が日本人と中国人の全く違うところで、
アフリカの未来に大きくかかわっているのは
中国人とインド人と言って間違いないでしょう。

そのアフリカから中近東にかけて石油の開発が行われたおかげで、
その土地の王様と王様と入れ替わった独裁者が
巨億の富を抱える大富豪にのしあがりました。
経営能力とは無関係にその土地を支配しているというだけで
富の大半を専有してきましたが、
こんなことがはたしていつまで続くのだろうかと
私はずっと首をかしげてきました。

パソコンの普及が世界を変えると私は言いましたが、
情報の伝達がつつ抜けになると
不合理な体制を維持し続けることが不可能になってしまいます。
もともと武力を背景にして手に入れた富ですから、
供給が続かなければ山も崩れることは目に見えています。
次に起る政治や経済体制の入れ替わりは
紙幣の印刷で生き伸びようとしている
アメリカだけに起ることではないことがわかります。


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2011年3月14日(月)

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