中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3996回
中国人の方が国際的包容力があります

最近の私は「中国で日本の流通業・サービス業にチャンスあり」
とくりかえし強調していますが、
それは収入のふえた中国人のお金の使い方を見て、
私なりに反応したことです。
収入が少ししかなかった頃の中国人は
安い物しか買う能力がありませんでしたから、
先を争って少しでも安い値段で手に入る物を探がし、
売る側の商人も人より安く売るために
人より安く仕入れることに全力を傾けてきました。

私がまだ子供だった頃、
日本の商人は中国の商人に敵うわけがない。
日本人がビールを売る時は
仕入れてきた値段に何らかのプラスをした値段で売ろうとするが、
中国人の商人は仕入れた値段で平気でお客に売っている。
不思議に思ってよく調べて見たら、
中国人は「ビールを入れてきた木の箱と藁があるじゃないか」
と言うのをきいて
「これじゃ敵いっこないわけだ」と日本人の方が舌を捲いた――
ときかされたものです。

しかし、今になって見ると、それは中国人が貧乏で、
払いたくても払う金がなかったからで、
昨今のように急速にお金があるようになって見ると、
中国人の方が気前がよくて、高いお金を平気で払うだけでなく、
ブランド商品や舶来品に
日本人よりずっと強く魅きつけられることがはっきりしてきました。
北京や上海に世界のブランド商品の店が
ズラリと並ぶようになっただけでなく、
新興の地方都市にまでそれらの店が雨後の筍のように
店びらきをはじめたのを見ても納得の行くことです。

私は日本と中国の間を毎月のように行ったり来たりしていますし、
この半世紀の両者の動きを見比べてもわかることですが、
日本人は意外に排他的で、中国人の方がずっと国際的なんです。
商品でも人間でも他国の物を心よく受け入れる点においてもです。
それも今にはじまったことではなく、
唐詩選を読んでもわかるように
西の方から青い眼の女性たちが
長安の都に出稼ぎに来ていたのです。
それが今回はグローバル化したスケールで再現していると考えたら
わかりやすいのではないでしょうか。


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2011年2月17日(木)

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