第3993回
「勝利管道」がシンガポールの会社になったわけ
「勝利管道(1080)」という
原油と天然ガスを輸送するパイプのメーカーは
2年続けて大へんな業績をあげていたので、
中国の輸送用パイプがまだはじまったばかりということもあって、
将来、有望と考え本社の工場まで投資考察団のメンバーを引率して
見学に行ったのです。
そこで2010年度は
政府が拡張計画にストップをかけられたことをきかされたので、
上昇気味だった株価が何故弱含みになったかをすぐ納得しました。
にも拘らず会社は工場の生産能力を倍にするために
隣接地に新工場を建築中でしたから、
企業が一方的に無謀な工場の拡張をするわけがない、
何かあるに違いないと私はすぐに気づきました。
その時、私は責任者である総経理から
この会社がシンガポールの会社に買収され、
今はシンガポール資本が大株主であることを知らされました。
イランやアフリカから仕入れる原油や天然ガスが
マラッカ海峡を通って輸送されることにさえ不安を感じている中国が
わざわざミャンマーにパイプの施設や
パキスタン経由のパイプ工事にとりかかっているのに、
選りに選んでパイプの企業を
シンガポールに売却するわけがありません。
そう思って推理力を働かせて
シンガポールの本社の人事まで調べたところ、
董事長は山東省の人で
シンガポール資本とはさして関係がないことがわかりました。
すぐに気づいたことはシンガポールにあると言っても、
「ここはダーミー会社だな」ということでした。
こんなことは今の中国にはよくあることです。
そう考えたので、この会社に仕事がなくなる心配は先ずない。
中国で今後、原油や精製油や天然ガスのパイプを
大規模に施設する必要があるかどうかが先ず問題で、
その必要があれば、1年か2年遅れるだけで、
この会社の株主になった人は
そうした動きのおこぼれをいただけるに違いないと確信したのです。
私は
「大株主が誰かわかったら心配のない会社です」
と書いたのを何を言っているのか
さっぱり理解できなかった人も結構たくさんおられたようです。
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