中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3642回
それでも世の中は10年で大きく変わります

「会社の寿命は30年」とまことしやかに言われたことがあります。
「創業者が会社をおこしてその町で一番になるのに10年」
と私は言いましたが、10年たった時が40歳として、
あと20年くらいは働ける年齢が続きますから、
合わせて全盛時代は30年くらい続くことになります。
あとはドラ息子が継ぐか、
息子が蹴り出されて側近のサラリーマンが後を継ぐと、
会社もだんだんマンネリ化しますから昔の勢いはなくなります。

実際に社会の移り変わりを見ると、
新興産業が華々しく上場して
それが花形産業としてもてはやされるのが30年、
あとは成長がとまったり、老化が激しくなって
昔の勢いがなくなってしまいます。
ワンマン経営の会社だと、
まだ創業者が生きているというのに、
会社ごと人事に渡って、創業した本人が没落してしまった例も
2社や3社ではありません。

世の中は2、30年のうちに大きく変わるのに、
一代で成功した人は自分の成功に自信を持っていますから、
他人のアドバイスに耳を貸したりしません。
成功者ほど始末が悪くてうっかりすると
一代で成功から失敗倒産まで経験することになります。
ですから家業として息子に後を継がせるどころか、
オヤジが死ぬと事業が駄目になるのを私は数々見てきました。

それが更にスピードがついて、
バブルがはじけてやっと立ちなおったと思ったら、
サブプライム・ローンに端を発した世界的な大不況ですから、
私の周囲では10年で様変わりという
ピンチに見舞われた人は少くはありません。
それがショックで倒産したり、破産したり、
他界した人も十指にあまります。
こうなると、一生に職を2回も3回も
変えなければならないことも現実に起り得ますから、
その覚悟も必要だし、
世の移り変わりに対応できるだけの気構えも必要になります。
私がいつも10年先のことを考えて
計画の練り直しをやるようになったのも世の中の変化に
だんだんスピードがついて来ることを意識しているからです。
だからと言って対応ができているわけではありませんが。


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2010年2月28日(日)

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