中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3636回
必らず下請けいじめがはじまります

サラリーマンが立身出世して最終目標である社長になると、
真先に考えることが自分の任期中に
間抜けな失敗をしないことですが、
無事勤めあがるために目標にすることは、
任期中に立派な業績をあげることです。

失敗をしないためにはとんでもない冒険をしないことですが、
業績をあげるために考えることは
前任者よりお金を儲けることです。
任期中たまたま環境がよくてうんと利益があがれば
こんないいことはありませんが、
昨今のような世界的金融不安にめぐりあったりすれば、
新任社長は誰だって緊張してしまいます。

そういう人が少しでも業績をあげるために考えることは
先ず売上げをあげることか、コストを下げることです。
ですから真っ先に目をつけるのは、下請け泣かせです。
どこの会社でも新任社長が就任すると、
その皺寄せは先ず下請けにいきます。
パーツを納入している下請けなら
最先に来るのは下請け価格のカット・ダウンです。
販売の代理店なら商品の値上げか、売上げの増量です。
不況できびしい激戦中であっても
そんなことなどかまっていません。

私がかかわっている業界でも、
役員人事の異動があった途端に、
もう次の週から会議また会議の連続です。
社長だけでなく人事異動にそのセクションに昇進した人は
値上げと販売促進の要求をしてきます。
いくら説明しても、下請けがかなりの業績をあげている限り、
本社の要求は続きます。

たとえば、建設機械は世界中が不況で、
アメリカもヨーロッパも業績不振です。
ロシアに至っては開店休業です。
中国はまだいくらかましですが、
中国のメーカーで日本と同じ部品を日本から買って
中国で組み立てている同業者は
ずっとの間で猛烈な競争がはじまっています。
それでもサラリーマン社長は在任中の業績をあげるために
平気で値上げを要求してきます。
明らかに日本の輸出を一そう悪化させても
一向に作戦の変更をする気配を見せていません。
「日本沈没」というセリフが思わず頭に浮んで来てしまいます。


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2010年2月22日(月)

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