中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3628回
あなたはどちらの肩を持ちますか

日本でも高度成長が続いていた間、
銀行はずっと裏方をつとめさせられる地味な存在でした。
成長する産業は次々と本業を拡張する必要に迫られ、
資金不足に悩まされ続けたので、
お金を貸してくれる立場におかれた銀行の社長や重役たちは、
自分のお金でもないのに、下にもおけない扱いを受けました。
当然のことながら、監督官庁の目をかすめて、
定期預金の強要をしたり、
金利の二重取りをして銀行の資産づくりに励みました。
それでも雀の涙ほどの配当をすることしか許されなかったので、
銀行株は軒並み額面近い株価にずっと釘付けにされたままでした。
今の中国株もそうした時代の
日本の銀行株に似た立場におかれています。

しかし、日本でも銀行がかなりの資金を積み上げ、
個人にもお金が貸せるだけ金あまりになると、
監督官庁も監視の手綱をゆるめるようになり、
配当も自由化するようになりました。
そうなると、銀行の積み上げた莫大な資産は
銀行株を一挙に天井まで押し上げることになり、
日本の銀行は先進国並みの社会的評価を受けるようになったのです。
しかし、それも束の間のことで、
やがて日本経済全体がバブルの崩壊で苦しむようになると、
お金の回収が思うようにならなくなった金融界は
再編成を余儀なくされるところまで追い込まれてしまったのです。

ですから銀行株をどう評価するかについては
投資家の意見は2つに分かれてしまいます。
一番お金のたくさん集まるところですから、
銀行は経済の最先端に位置していて当然だという考え方と、
ピンチの影響を最も大きく受ける上に、
政府の縄が首にかかっていて
思うように動けない存在だという考え方に分かれてしまうのです。
中国の銀行株にもそうした二面性がありますが、
さて、あなたはどちらの肩を持ちますか。
あなたの考え方1つで、
あなたの資産も大きく分かれてしまうのです。
私自身はいまの中国の銀行株はまだ高度成長時代の
日本の銀行株と似た位置に置かれていると見ていますが。


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2010年2月14日(日)

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