第3602回
不動産は中国でも同じことが起ります
私は高度成長期の東京に住んで、
自分の家を建てるだけでなく、マンションを買ったり、
商業ビルを建てたり飲食センターまでつくったりしましたが、
今日残っているのは自分の家と商業ビル、
事務所ビルくらいなもので、
マンションは子供たちの住んでいるところ以外は
1軒も残っていません。
商業ビルやオフィスビルも、
年をとったら家賃もらって左うちわで暮らす積りだったのが
実はとんでもない話で、
人間が年をとるように建物も年をとって、
水漏れが激しくなったり、あちこち故障を起したりして、
もう一度、壊わして建て直す時期に来ています。
すると30年前、40年前に銀行からお金を借りて
何十年かかって返済したのと同じことを
もう一度くりかえすことになってしまいます。
でも商業ビルはいいロケーションにありますから
借り手がいなくなる心配はありません。
それに比べると、マンションは新しい設備のよいのが
いくらでも次々とできて、借り手がいなくなるし、
建て直そうなんて言っても、何十という持主がいて
環境もふところ具合も違うので話のまとまる可能性がないので、
えい、面倒臭いと次々売っ払ってしまうことになります。
中国もいまずっと建築ブームが続いていますが、
中国人は自分の住んでいる家の中は立派に飾り立てていますが、
公共部分は全くほったらかしなので、
少し時間がたつと信じられないほどレベル・ダウンして
値下がりしてしまいます。
そういうマンションを買って賃貸に出しても、
テナントの要求が次々と出てきて
いちいち応じているいとまもありません。
ですから、中国でも
私たちが日本でくりかえし経験したことが起ると考えるべきで、
不動産を持つなら、いいロケーションにある
商店かオフィスということに限られてしまいます。
でもそういう不動産は容易に手に入りませんので、
それならいっそ不動産株はどうだということになってしまいます。
株なら嫌気がさしたら、
その日のうちに売っ払ってしまうことができるのですから。 |