第3583回
今年の大晦日は成都市にいます
今日はいよいよ大晦日です。
皆さんはご自分の家で年越し蕎麦を召し上がりますか、
それとも正月のわずらわしさを避けて海外旅行中ですか。
私は26日からずっと上海の家にいて、
今日、家内と一緒に成都市にとぶところです。
小説家として駆け出しの頃は、
毎年元旦になると、家内と娘を連れて、
お世話になった長谷川伸先生と佐藤春夫先生のお宅に
先ず挨拶にまわり、
最後に檀一雄さんのお宅で夕食のご馳走になってから
夜遅く自宅まで帰るのが日課でした。
そのために大晦日は家にいて年越し蕎麦を食べて
紅白歌合戦を見るのが長く続きましたが、
やがて大先生方もあの世に行って挨拶に行く所がなくなり、
私のところに正月に挨拶に来る人がふえるようになると、
挨拶に行くよりも挨拶に来られる方が
もっと患しいことがわかるようになりました。
人の家に挨拶に行くのはいつ行くか自分で決められますが、
挨拶に来られるのはいつ誰が来るのか見当もつかないし、
朝から晩まで酒とご馳走の相手をするとなると、
身体にだってこたえます。
こんなことならいつも海外旅行に出たらということで、
台湾や香港からはじまって、
タイ、トルコ、ギリシャからエジプトまでまわるようになると、
お餅からお屠蘇の味まで忘れますが、
しまいにはあちこちに自分の家を持つようになったので、
お餅やカズノコまで持ち込んで
外国で正月を迎えるようになりました。
今日の大晦日は自分が成都市に建てたビルの上層部にある
他人の経営するホテルで迎えるので、
年越し蕎麦もないかも知れませんが、
成都市は景気の恢復が中国でもトップの位置にありますので、
大へんな人の賑わいで
道を歩くのもままならないことになる筈です。
東京が駄目なら中国で仕事をやってもいい筈です。
そういうグローバル化の時代になったのです。
仕事場もどこでやるか自分で選べる時代になったのですから。
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