第3569回
事業と株ではやる人の心構えが違います
前にも申し上げましたように、
私は雲南省の保山市というところで、コーヒーの栽培をしています。
選別の工場から小規模な焙煎の工場まで建てて、
それだけではおさまらず、遂にパンやケーキの工場まで
北京や上海や成都につくって頑張っていますが、
7年たってもまだ完全に軌道に乗っていません。
それでも途中で投げ出さずに辛抱強く続けているのは、
中国経済が発展して中国人のふところ具合がよくなったら、
中国人は必らずコーヒーを飲むようになるだろうと
信じ込んでいるからです。
ところが、このコラムを読んでいる人の中には
中国株をやっている人が多く、
その人たちの反応を見ていると、
株を買ったら明日にも大暴騰をして
大富豪にのし上がることを夢見ている人が大多数です。
私は普通の人に比べたら、投資歴も長く
(但し、経験の豊富なことは大して役に立ちませんが)
現場を見に行くチャンスにも恵まれていて、
違った角度から物を見ることができるので、
業績や銘柄について私の意見を述べることが度々あります。
それを反応して株価が大きく動くことが再三ならずありますが、
私がその株を買いなさいとすすめているわけではありません。
もちろん、私が間違えることもあれば、
私が経営者にだまされることもあります。
予想外の大きな変動によって
経営者の思い通りにならないこともあります。
そのために私が損を蒙ることも再三ならずあります。
たとえば、セブン・スターズは企業のトップにあうことができず、
たまたま私と面接した女性の秘書が
「うちの社員は2ドルになると予想して
1ドルで株を買っていますよ」と言ったので、
60セントや70セントは安いんじゃないかと思って
テレビ・ショッピングの現場を見学するために、
投資視察団まで連れて上海の事業所まで足を運びました。
ところが、実際に起ったことは
日本のテレビ・ショッピングと全く逆の結果になってしまいました。
そのために私は2億円損を出して見切りましたが、
もちろん、それを人のせいにすることはできません。
自分でやったことですから。
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