中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3559回
たかがコーヒー、されどコーヒーです

どこのホテルにもコーヒーハウスはあります。
東京の一流ホテルの喫茶室に入ると、
コーヒー1杯で1500円もとられます。
でもそんなにおいしいコーヒーではありません。
コーヒー代というより場所代でしょうが。

昆明の翠湖賓館の1階にある邱公館のコーヒーは
私たちが保山のコーヒーどころで栽培した
ブルーマウンテンと同じティピカ種のコーヒーで、
世界中どこのコーヒーにも負けません。
ホテルの総経理が私たちのコーヒーの噂をどこかできいて、
日本風の喫茶店をひらいてくれないかと要請があったのです。
雲南省がコーヒーの名産地だと
知っている人さえ少なかったのですが、
日本人のマネージャーが
東京の表参道にある有名なコーヒー店で修行を積んだ
中国人の助手を使って出した店を、
一流ホテルのガイド・ブックが取り上げたので、
今ではすっかり有名になって
ホテルの看板の一つになっています。

それに勢いを得て、成都市の邱公館が
ケンピンスキー・ホテルに近い高級住宅街に
新しいコーヒー・ハウスをつくりました。
白づくめの、東京にもないような素敵なデザインの店で、
ガラス張りで外から一目瞭然なので
通りかかった人が中を覗くよりも
先ず上を向いて店の名前を確めます。
どう考えても成都には早すぎる店のつくりと商品ですが、
先ず成都に住む外国人と日本人と台湾人が車をとめて、
自分の家で食べるパンとケーキとサンドウィッチを買って
車に戻ります。

こんなハイカラな店、
はたしていつ採算にのるようになるのかと私も心配になりますが、
うちの上海の連中も負けてはおらず、
私が勝手に「旧天地」と名づけた
泰康路田子坊にある邱公館コーヒーでは
金・土・日になると観光客で一杯になります。
北京、上海、成都、昆明と並べてお客の入りを見比べると、
中国の経済成長のスピードと
外国文化の影響のスピードがわかります。
「たかがコーヒー、されどコーヒー」ですが、
私のお遊びと見て下さってもいいし、
中国経済発展のテスト・ショップだなと思って下さっても、
もちろん、かまいません。


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2009年12月7日(月)

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