中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3558回
昆明に五つ星ホテルに邱公館コーヒーハウスを

もともとコーヒーの木を植えて
金持ちになろうと考えたわけではありませんから、
それが無理だとわかっても別にショックではありません。
でも大産業にならなくとも、
それをやったことに意義があったと
自分が納得できなければならないし、
さしあたり採算に乗って
本業を継続して行けるだけの対策も必要です。

そう考えて、先ず北京にコーヒー・ショップをひらき、
パンとケーキの工場までつくりました。
工場を持つと、お店が一軒だけでは製品をさばききれないので、
支店をつくったり、他人の店に商品をおろす仕事もはじめました。
すると、ロケーションを間違えたり、
まだ黒字にもなっていないのに家賃を倍にすると
家主から無理難題を持ち込まれたり、
自分の店のマネージャーに一杯食わされたり、
さては、集金に一苦労も二苦労もさせられたり、
中国に進出した日本の企業が一通りは味わされるトラブルを
次々と経験する目にあわされたのです。

そうして覚えたことは、
コーヒーのチェーン店をつくって
スターバックスの向うを張ることはできないけれど、
中国で一番高級なコーヒー豆をつくって
名をなすことならできるということと、
もう1つはパン、ケーキ屋として
成長する可能性があるということでした。

雲南はコーヒーどころと言うけれど、
コーヒーの工場に行って、
ちゃんとコーヒーを出してくれるのは
私たちの工場くらいなもので、大抵は普茶が出てきます。
飛行場のコーヒーショップに至っては、
まずいコーヒーしか出てきません。
況んや飛行場の売店で売っているコーヒーは
ちゃんとした選別さえできていませんので
そういう商品と一緒に並べられては名がすたります。

色々考えた末に私たちが選んだのは
外国人が数多く泊まる昆明の五つ星ホテルの
喫茶室の経営をすることでした。
昆明のど真ん中に翠湖という湖があります。
冬になるとシベリアからかもめの大群がとんで来て
湖が一面その翼で真っ白に埋まる湖に面した
翠湖賓館に邱公館の店をつくったのです。


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2009年12月6日(日)

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