第3556回
コーヒー1杯売るのも大へんなのです
コーヒー豆選別工場を建てる覚悟をした頃には、
もういくらコーヒーを植えても
日本のコーヒー焙煎会社に
相手にされないことはわかっていましたので、
工場を建てると同時に
コーヒーハウスをひらく必要も痛感するようになっていました。
そこで現地の政府にお願いして
工場の敷地探がしに協力していただき、
雲南風情のある美しい工場の建設にかかると同時に、
北京にコーヒーハウスの1号店を
オープンする準備にとりかかりました。
何しろすべてはじめてやることですから、
用心深いにこしたことはなく、
1号店も自分の建てた三全公寓の1階にある
中華料理屋とイタリア料理の隣りにある
子供の遊び場を改造することにしました。
コーヒー屋をやると言っても、
コーヒーだけでは商売にならないし、
どうしてもパンやケーキも一緒に出す必要があります。
ところが、中国はまだヨーロッパナイズといいますか、
欧化が遅れていて、パンもケーキも
韓国とシンガポールのメーカーが進出しているだけで、
私を納得させてくれるだけのレベルの店はまだありません。
やむを得ず邱友会の仲間で、東京と横浜で手びろく店をひらいている
東山堂の原田さんに手伝っていただくことにしました。
何しろコーヒーを1杯20元で売ったとしても、
1日にお店で100杯売るのは容易なことではなく、
その売り上げだけでは家賃を払うのがやっとです。
しかも入口に門番が24時間も立っている高級アパートの中では
お客だって門番を見ただけでおじけづいてしまうかも知れません。
それでもほかにいい知恵が浮かばなかったので、
Qコーヒーは地下のガレージの隣りにパンとケーキの工場をつくり、
1階の子供の遊び場を改造した
ちょっと粋なインテリアの店をつくりました。
心配のあまり私は北京に滞在している間、
お店のテーブルに陣取って入ってくるお客さんの数を数えながら、
いつになったらツーペーになるか
気をもむ日々をくりかえしたものです。
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