第3524回
デフレで痛めつけられて次は大インフレ
アメリカをはじめ、世界中の金融企業に
これからどうする積りですかときいても、
いままでと違うことをやれるとは考えられません。
お金を扱う商売ですから、お金を貸して金利をもらうか、
株や不動産に投資するか、商品相場に手を出すか、
と守備範囲は限られています。
何に投資するのか、あるいはそういう投資をする
誰にお金を貸すのかは、大体、きまっていて、
そんなに変わり映えのするものではありません。
従ってまた同じことのくりかえしになる可能性は
大きいと言ってよいでしょう。
同じビジネスでも、付加価値を生む企業に融資をして、
その果実の分け前に預るのなら
分けるものが目の前にありますから大丈夫ですが、
企業の買収だとか、不動産の投機だとかいうことになると、
必らずどこかで限界に達してしまいます。
上げ歩調が逆転して下げに転ずると、
あった筈のものが瞬時にして消えてなくなってしまいます。
ですから新商品を考案する天才が現われたとしても、
付加価値の裏付けがなければ、
また同じことのくりかえしになってしまうのです。
いまのところ、最も安全な投資対象と考えられているのは
アメリカをはじめ、各国の政府が発行している国債です。
中国や日本などの空高く積み上げられた貿易黒字の大半は
アメリカの国債に化けています。
国債ならアメリカの政府がひっくりかえらない限り
大丈夫だと思われています。
というのも返済財源がなくなってしまえば
印刷機械をフル回転させれば
いくらでも紙幣が印刷できると信じられているからです。
そのこと事態に間違いはないでしょうが、
無いお金を先に使ってしまって、
その返済を何十年後の小さくなったドルで
返済することが世間の常識になれば、
デフレのあとに気がついたら猛烈なインフレになっていた
ということが必らず起るということになります。
紙幣が発明された以上、
デフレの向うに必らずインフレがあると
考えるべきではないでしょうか。 |