第3471回
久しぶりにシンガポールに行ったわけ
久しぶりにシンガポールに行ってきました。
前によく行ったのは、中国の経済成長がまだはじまらず、
日本についで、台湾・韓国・香港・シンガポールの
いわゆるスモール・フォー・ドラゴンズ(4匹の小龍)が
頭角を現した頃のことです。
その頃は他の百貨店やスーパーの先手を打って
八百伴がシンガポール総統官邸の真ん前に店を持って
シンガポール中の話題をさらっていましたが、
あッという間に八百伴は姿を消してしまいましたし、
工業化が進むかと見えたシンガポールも消費人口の不足と、
すぐお隣りのマレーシアやタイやインドネシアに
工業建設のお株を奪われて、
金融中心の資源小国のまま足踏みをしています。
もちろん、近隣諸国の政情不安を怖れる
華僑たちの金庫としての役割はいまも果していますが、
オイル・マネーをはじめ、
投資先を自分たちで開拓できない資金の運営に
血道をあげてきましたから、
今回の金融恐慌のさなかでは、
表立った発表こそしていませんが、
私は香港のホンコン・シャンハイ・バンクや東亜銀行以上に
大きな被害を蒙っていると見ています。
アジアの英語圏の1つとして、イギリス本国とも縁が深いし、
オイル・ダラーをアメリカに運び込む位置にいますので、
他の業種の受ける被害の大きさに比べても、
ショックはかなり深刻だったのではないでしょうか。
ジュロンの工業団地にも足を踏み入れてみましたが、
土地も狭く、労働力にも恵まれず、
しかも450万の都市人口だけでは
大きな工場を成り立たせるだけの消費力がないので
無理を承知でつくりあげた石油産業以外は
昔とほとんど異った光景にはぶっつかりませんでした。
それでもシンガポールに行く気を起したのは、
水に不足するシンガポールで
海水を淡水に変える水処理会社を見学したかったからです。
シンガポールはマレーシアに水の供給をストップされたら
忽ちお手上げになる立場におかれているのです。
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