第3453回
不動産と自動車が景気回復の牽引車に
輸出の減少による景気後退を補うために
国内消費に力を入れるというのが
中国政府の基本方針であることはよく知られています。
しかし、輸出できなかった滞貨を
国内で買ってもらえるわけではありませんから、
ピンチにおちいった深圳や東莞のメーカーは倒産するに任せて、
国内で売れそうなものをつくっている業者や
お金を使ってもらえそうなビジネスを
優遇するということになりますから、
入れ替わりによる混乱は避けられません。
では国内で売れる物は何かということになると、
値嵩で言えば、先ず家と自動車ということになります。
地方都市をちょっと歩くとすぐにもわかることですが、
全国どこでも景気のよい時にマンションを建てまくっており、
売れないいまま野ざらしになった建物がゴロゴロしています。
そうしたマンションの値段を押し上げれば、
景気はすぐにも生気を取り戻します。
そのためには銀行が不動産を買う住宅ローンを
開放すればいいのですから
そんなに難しいことではありません。
実際に政府が銀行に命じて貸出しの枠をひろげていますので、
マンションの売れ行きが目立ってよくなり、
北京でも上海でも不動産が値上がりをはじめました。
とりわけ地方都市ではお金の流れが俄かにゆるんだので、
地方に行くほど不動産の値上がりが目立っています。
自動車の売れ行きについても、
新聞がしばしば報道しているように、
台数だけで言えば中国がアメリカをしのぎ、
自動車会社がやっと息を吹きかえしました。
成長率8%の達成が確実視されるようになるまでは、
ゆるめた手を締めにかからないでしょうから、
マンションと自動車を牽引車とした景気恢復は
着実にすすむと見てよろしいようです。
しかし、それが行きすぎになって
不動産の値上がりに勢いをつくることも
全く考えられないことではありません。
但し、いまのところインフレはデフレに比べて
中国経済の恢復に役立ちますから
先進諸国に比べて中国が一番早く
活気づく可能性が出てきました。
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