第3440回
ソバ粉のソバを中国でハヤらせられるか
成都の町中にある大衆ソバ屋にとびこんだら、
日本と同じソバ粉でつくったソバを売っていたのです。
考えて見れば、四川省から雲南省にかけては
もともとダッタンソバの原産地だし、
ウドン粉でつくった麺と並んで、
ダッタンソバのソバ粉でつくった麺があっても
何ら不思議なことではありません。
ソバ粉は中国ではウドン粉より安価なものだし、
雨がふらないために米が不作におちいった時、
枯れた稲を抜きとって大急ぎでソバに植えかえて
飢えをしのいだ歴史があるのです。
ソバは植えてから僅か75日で実がなるし、
量は少なくても何も食べないよりは腹の足しになります。
ですから稲も麦もできないような山あいの痩せた土地では
いまも昔と同じようにつくられていますが、
貧しい少数民族でソバを常食としている人たちは、
血管の通りをよくするルチンのせいかどうかはわかりませんが、
若い時に死ぬ人たちはハヤリ病で死んだりしますが、
人が死ぬのは年をとって身動きできなくなるから
死ぬのだと思われているそうです。
そうした長寿村のソバ粉でつくったソバが
成都にあるのも不思議なことでないし、
肉食が当り前のところで牛肉がニシンや鴨の代わりに
使われているとしても不思議ではありません。
しかし、1杯5元の牛肉ソバに
霜降り牛肉が使われていないのも当り前のことだし、
将来、もし中国人の間にソバ粉でつくったソバが
流行するようになったら、それはニシンソバでなくて、
牛肉ソバであったとしてもむしろ当然のことです。
何しろ中国は医食同源の国ですから、
人々は食べ物が身体にいいものかどうかをとても気にします。
身体にいい食べ物ですよという宣伝がきいて、
しかもおいしいとなれば、
いよいよこれから老齢化のはじまる中国では
最もハヤる可能性のある食べ物になるのではないでしょうか。
私は牛肉がこれから中国人に
大きく取り入れられるようになると見ていますが、
ソバ粉でつくったソバもそれに負けない可能性が
あるのではないでしょうか。
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