第3420回
不動産株なら安心というわけには行かない
次々といくらでも大量生産される中国のマンションを
成長期の東京や大阪のマンションの財産としての動きと
同一視するわけには行きませんが、
中国では中国なりに
マンションにはいくらなら売れるという時価もありますし、
いくらなら借手があるという家賃収入もあります。
ですからマンションに交換価値がないわけではありませんが、
辛抱強くずっと持っていたら、
かつての日本のように値上がりを楽しめると思ったら、
当てがはずれる可能性は大だと私は見ています。
従って中国ではマンションを投資の対象と
単純に考えるわけには行きません。
大都市の中心にある商店やオフィスは別として、
マンションはどんなところにあるかという位置にもよるし、
管理が行き届いているかどうかにも左右されるし、
またその時々の不動産の相場によって異なった動きをします。
ならばマンションを建てる不動産会社にも
問題ありということになりますが、
むろん不動産会社にも問題があります。
しかし、不動産も工業製品の一種と思えば、
一時の相場に左右されることは同じだし、
長期的に見て財産価値のある商品を持っていると思えば、
売れ残ったら財産価値の減価する自動車や家電製品に比べれば
ずっとましな存在であることも事実です。
そうなると、数ある不動産会社の中で
どの会社を選ぶかという比較対象の基準は
その会社の持っている不動産が
どんな都市にあるどんな商品であるか、
また会社の経営に当っている人物に
どれだけの能力があるか、ということが大きくかかわってきます。
一口に不動産と言っても、
日本だって三井不動産と三菱地所と住友不動産では
投資家の受ける印象にかなりの相違があるでしょう。
それと同じように万科と湯臣と新世界とでは
それぞれ違った不動産会社と言ってよいでしょう。
となれば不動産株ならどんな動きをするかではなくて、
それぞれの投資家の受ける印象も大きく違うのが当然でしょう。
不動産を投資対象にするのもそう簡単でありませんが、
中国の不動産株投資も報いられ方に大きな違いが生じます。
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