第3418回
やがて農民までマンション住まいの時代に
日本ではマンション・ブームは
東京や大阪のような大都会からはじまって、
少しずつ地方都市に移って行きましたが、
中国での伝染は異常に早く、
いまやどこの地方都市に行っても
高層のマンションが林立しています。
「マンションを建てて金儲け」という商売は
中国人の誰もが考える商売ですから、
伝染病のように全国に拡がり、
百姓家まで一戸建てからマンションに移りかわりつつあります。
もっともマンションの百姓家は、
息子や娘が出稼ぎに行って稼いだお金で買った物でしょうから
まだそんなにたくさんはありませんが、
人の集まる都市ならどんなに人口の少いところでも
建物の高層化がすすんでいます。
中国で5年か10年ぶりに昔訪れたことのある地方都市に行くと、
違ったところに来たのではないかと錯覚を起してしまいます。
町の発展とは高層化のことだと
地方のお役人さんたちは思い込んでいるのではないかと
こちらが考え込んでしまいます。
今のところ、大火事を起すことは、
旧正月の北京のマンダリン・ホテルの大火事は別として、
あまりないようですからそう切実ではないと思いますが、
高層化が進んだ割りには
消防設備がそんなに追いついていていません。
私の場合は、すぐに日本で一時期、
消防関係の株が人気を呼んだことが頭に残っているので、
政府がお金を出して高層化した都市の設備に
力を入れるだろうと考えて
中国消防の株を取りあげたこともあります。
成都の大地震があって業績は思ったほど伸びていませんが、
高層化がすすめば手堅い動きになるのではないでしょうか。
しかし、それ以上に考え込んでしまうのは
高層化によってマンションの大量生産が次々と起り、
不動産が工業製品化して、
かつてのような不動産の希少性が
失われてしまうのではないかということです。
百姓家までマンション化してしまえば、
不動産が最も頼りになる財産であるという
私たちの先入観はうすれてしまいます。
不動産に対する日本と中国の見方の違いを
頭の中に入れておく必要があるのではないでしょうか。
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