中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3415回
今頃になってやっと進出する鈍感な企業も

日本のデパートやスーパーが日本国内で営業をやっていると、
成熟社会と不況が重なって売上げが伸びないばかりでなく、
年によっては売上げが
10%も20%も減退するような目にあわされます。
すると計上益がすっとんで赤字になりますから、
どうしても海外進出でもやって
その埋め合わせをやらなければならなくなります。

私は10年も前からいまに日本の流通業者は
大挙して中国に引っ越しをしなければならなくなると考えて、
何社もの大手に誘いをかけたことがあります。
私の誘いに応じて真っ先に大陸進出をはかった八百半は
アクセルを踏みすぎたために人材と資金でショートして
倒産の憂目にあいましたが、
デパートでは伊勢丹
スーパーでは伊藤ヨーカ堂が立派な業績をあげています。

それに対して、デパートでは三越と高島屋が後塵を拝し、
台湾の新光グループとスクラムを組んだ三越は
パートナーに選んだ中国資本とトラブルを起し、
国内の対策に追われて海外進出に手間取った高島屋は
最近になってやっと上海進出をすると
寝言のような発言をしています。
それぞれの体質によって
時代の変化に対する対応の仕方も違いますが、
動きの悪さがそのまま会社の業績にも反映しています。
ですから株を買う場合にしても、
経営者の感度を考慮に入れる必要が起ってきます。

最近はデパート、スーパーからコンビニに至るまで、
さてはレストランのチェーンも含めて、
日本の流通業者からサービス業者に至るまで
一せいに中国進出に乗り出しています。
比較的早くから中国進出の難しさに直面して
失敗を重ねながらもそれを乗りこえてきた企業は
既に要領を覚えたのであまり心配がありませんが、
中国人と日本人の発想の違いを全く知らない日本の大企業は
その要領を覚えるまでに更に5年や10年はかかってしまうでしょう。
でも誰もそれを教えてくれませんから、
大企業より個人の方が成功の確率は高いんじゃないでしょうか。


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2009年7月16日(木)

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