中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3414
デパートの食品売りが大きく変わります

一頃、スーパーの安売り攻勢に押されて
デパート地下の食品売場に閑古鳥が啼いたことがありました。
デパートがスーパーに対抗するために、
逆に食品売場にスーパーを併設して
スーパーに対抗する動きもありました。
いまでもそれが続いていますが、
食品は衣料品と違ってマージンのうすい商品ですから、
デパートがスーパーの向うを張って勝負に勝てるわけがありません。

そのうちに食べることにお金を使う人が
安い物ばかり食べるわけではないことがわかって
スーパーでは売っていない
高級品のマーケットがあることに気づいたデパートは
スーパーより一級も二級も上の食品を扱うようになりました。
万年不景気が続くと、人々は倹約を強いられますが、
それがいつまでも続くと倹約疲れを起します。
倹約を続けたまま死んでしまうのなら、
今晩くらい散財してやれと思う人がふえると、
スーパーでは売っていないような高級品売場にも
人だかりが見られるようになります。

食品売場は一階にある化粧品売場や靴、
ハンドバッグ、ネクタイなどの売場に比べると、
デパートの取り分は少いので、
デパートの経営者は気乗り薄ですが、
売り上げが逆転しそうな形勢を見せますと、
いつまでも知らん顔もできません。
既にその傾向は少しずつ出て来ていますが、
いまにデパートが
食べることにお金を払う人を重視する時代が来ると見ています。

これは日本にだけ起ることではありません。
アメリカでもグルメ相手に
食品のブランド製品を売る商売が成長していますが、
これから中産階級が大へんな勢いで育つ中国で
一番大きく育つ商売の一つだと私は見ています。
永田農法によるトマトづくりとか、
千疋屋で売っているマスク・メロンとか、
松阪肉、神戸肉を中国で生産することに
私が関心を持つようになったのも、
豊かになった社会で何が起るかを注意深く観察しているからです。
人々のふところに変化が起ると、
商売のやり方も大きく変わるのです。


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2009年7月15日(水)

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