中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3369回
中国は毎年4%ずつ水が不足する?

中国が工業化社会に突入してから、
もうかれこれ20年あまりになります。
4つの経済特区をつくって
海外の工場を誘致しはじめた時から勘定すると、
30年あまりです。

僅か30年で「世界の工場」と呼ばれるようになり、
外貨を2兆ドルも貯めこんだのですから、
史上稀に見る大成功と言ってよいでしょう。
しかし、「世界の工場」になったということは
世界の環境汚染を一手に抱え込んだということにほかならず、
水が汚れたり、空気が人間の生存を困難にしたり、
生活をおびやかすほど腐蝕させているということになります。
一頃、そうした環境汚染が大問題になって
政府の解決すべき重要テーマになりましたが、
世界を揺るがす大不況が表面化すると、
その蔭にかくれてあまり目立たなくなりました。
しかし、中国に住む人たちにとっては息詰まるような
深刻な問題であることに変わりはありません。

そういった意味で少し金融不安の問題が落着き、
産業界が正常化すると、
忽ち息を吹きかえす緊急問題です。
なかでももっとも恐怖を以て迎えられるのは
水の問題ではないでしょうか。

水の問題は私たちが日常生活や生産活動になくてはならない上水と
一ぺん使って汚水化した水を正常に戻す
汚水処理の問題があります。
どちらも大切ですが、
中国では2010年を境として毎年、
生活のレベルがあがるに連れて
4%ずつ水が不足するという報告書があります。
もしそうだとしたらこのまま放置しておくわけに行かないので、
大都市はもとよりのこと、
どこの地方都市でも、
「水道は大丈夫ですか」ときかれると、
お役所のトップの人たちの顔が青ざめます。
さしあたりは何とかなるとしても、
10年後、20年後のことになると返事ができなくなるのです。
そう考えて、
「水の処理は?」「上水道は?」と株の本をめくると、
何社かの企業が目につきます。
日本のように水に恵まれている国では考えられないことが
現に起っているのです。


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2009年5月31日(日)

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