中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3357回
自動車産業を見直おす時期に

生産力がついた分だけ工業的豊作貧乏におち入ると、
そう容易には回復できないのではないでしょうか。
自動車について言えば、
政府の全面的な梃子入れがあったとしても、
アメリカ人の懐具合を無視した商品づくりを30年も続けたので、
資金さえ間に合えば、
国際競争に打ち勝って行けるわけではありません。
恐らく何回も何回も危機に直面して、
様相一変して立ち直るまでに
全く違った企業になっているのではないでしょうか。

それはビッグ・スリーに変って世界を制覇する可能性のある
日本やヨーロッパのカー・メーカーにも言えることです。
他の業種と違って一貫して成長を続けてきた業種だけに、
どこのメーカーも超巨体になってしまいました。
世界市場が縮小すると、
地域もしくは国別の事情が違いますから、
素早い対応でできるものかどうか。
大きくなった分だけ対応に手間取る心配があります。

その点、
まだ開発途上にある中国ではアメリカ市場の停滞を尻目に、
毎月のように自動車の販売数が新記録をつけ、
小型車も台数として勘定すれば、
今年の販売台数はアメリカをしのぐ勢いを見せています。
中国じゅうの道路が隅々まで開発されて
自動車を走らせる方がずっと便利になったことと、
所得が上昇過程にあることが
そうした動きを着実に支えているのです。

そうは言っても、
乗用車もトラックも小型で10万元台から30万元以下が
圧倒的多数を占めていますから、
北京や上海の路上の光景は自ら先進国とは違っています。
違っているけれども、
成長する中国経済の新しい光景であることに間違はありません。
従ってこうした光景が3年も続けば、
自動車メーカーに対する評価も、
自動車メーカーや自動車部品メーカーや燃料に対する株価も
かなり違ったものになることが考えられます。
ずっと不況知らずを続けてきた自動車業界をもう1度、
新しい目で見直す時期が来ているということです。
トヨタなら大丈夫と安心してはいられないと言うことです。


←前回記事へ

2009年5月19日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ