第3345回
200万坪の農地開発に1日で調印
寧夏回教自治区は私が日本へ研修生を送り込む基地の1つです。
人口は700万人足らずですが、
職業学校が省都にあたる銀川市に40何校もあり、
農業から料理・サービス、
さては自動車の修理学校から看護婦学校まであります。
昨日まで畠仕事をやっていた人をいきなり日本に連れて行って
工作機械の操作を教えるのと違って、
それぞれの基礎的な勉強をした学生に、
片語の日本語くらいは教えてから日本へ送り出しますので、
受入れ先で好評を博しています。
私は地元の職業学校にも奨学金を出しているので、
地元ではそれなりの評価をされているのでしょう。
多分、そのせいだと思いますが、
沙漠の開発は地元にとっても、もちろん、大きな問題ですが
中国の食糧問題の解決にもつながるので、
ぜひ現地を見てくれないかと誘われました。
そこで、永田農法の永田照喜治さんと
肉のハナマサの小野博さんを誘って現地に乗り込みました。
寧夏は回教地域ですから、豚肉は食べず、
牛肉と羊肉が中心であり、どちらかというと、
牛肉の先進国に属すると考えたからです。
私たち一行8名は自治区のトップから最高の歓迎を受け、
既にビニール・ハウスの中で
トマトやイチゴやピーマンをつくっている現場から、
粉ミルクの製造工場やら肉牛の牧場まで
一通り案内していただきました。
現地を見た永田さんはすっかり張り切って、
日本でこれまでやってきた仕事はすべて人に譲って、
自分はここで人生最後の集大成をやるんだと意気込んでいます。
アラブからアフリカの乾燥地帯を一通り見てまわった永田さんは
ここがもっとも条件いいと一も二もない意気込みなので、
私はたった1日見ただけで、
その日のうちに200万坪の開発をする契約にサインをしたのです。
電気や水をひいたり、防風林をつくる仕事は
政府が責任を持ってくれますが、
ビニール・ハウスをつくったり、作業場の建物を建てたり、
パワーショベルを調達する仕事は
すぐにもはじめることになります。
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