第3341回
人が動けば付加価値が生まれる
農作物の輸出入についてはどこの国も
自国農業の保護にきゅうきゅうとしていますから
色々と制限をします。
従って日本人が外国に行って農業生産をしたとしても、
それを自由に自国内に持ち込めるとは限りません。
現に農薬の問題で輸入をストップされたほうれん草だって、
私の知っている日本人が山東省で生産と輸出に従事していました。
恐らく今後も同じ問題が起ると覚悟しなければなりません。
従って毒ギョウザだけでなく農産物から粉ミルクまで
健康に影響のないように十二分の対応策が必要なことは
言うまでもありません。
しかし、仮りに日本への輸出が不可能でも、
中国国内の需要が激増する方向にあるし、
同じ野菜や牛肉でも高級品に対する需要がふえるので、
品種の改良とグレードの高いものに
切り変えて行く必要があります。
1億2000万の日本人を相手にするより
13億の中国人を相手の商売がずっと大きな商売になるのです。
農業は工業生産と違って、
気候や土質などの天然条件に大きく左右されます。
四季があって、水に恵まれていると言っても、
すべての作物がその条件に合致しているとは限りません。
水に降られたら却って困る作物もあれば、
昼夜の温度差が激しい方が出来のよい作物もあります。
そういう作物を国内でつくるために温室をつくったり、
冷暖房で温度の調節をしなければならないことが現に起っています。
それに比べて、そういう作物の栽培に適した
天然条件を備えたところで栽培をすれば、
それこそ10分の1のコストで目的を達することができます。
グローバル化によってそういう条件を備えたところで
作付けをすることが可能になりつつあるのです。
自動車や製鉄を消費国や資源国に行ってやるのと違って、
もっとずっと有利な条件を農業は備えています。
たかが百姓仕事と侮ってはいけません。
土から離れない仕事ほど人間の方が移動する必要が起るのです。
そういう時代がやって来たのです。
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