第3192回
台湾海峡に平和の鐘の音が
中国と台湾の問題はそう簡単に片づく問題ではありません。
台湾で二・二八事件が起らなければ、
本省人と外省人の間の溝がそんなに深くならないですんだのですが、
陳水扁前総統があれだけ汚職まみれの政治をやっても
まだシンパが後を絶たないのを見てもわかるように、
北京との交渉を親大陸政権が誕生したにも拘らず、
これからやっと胸突き八丁にかかるところです。
でも台湾の企業の大半が既に大陸に進出しているし、
大陸と分離して台湾経済が成り立たないほど
密接な体制ができてしまったので、
これからは三通をはじめとして、
どうやって人やお金や産業の行き来を密切にして行くかが
当面の課題になります。
それはどちらもがその必要を痛感しているところですから、
十何年ぶりに両岸交渉が実現し、
中国側を代表して役人としては最高の地位にある陳雲林氏が
台湾を訪問することになったのです。
ここまで到達するのに、
独立を主張する民進党が二期続けて政権を担当し、
対抗意識を盛んに煽ったので、
台湾のわけても南部では大陸に対する敵対意識が強く、
台北で国民党のトップが陳雲林氏の招待パーティを開宴した時も
ホテルをデモ隊が包囲して
散会するまでに8時間もかかるという椿事が起りました。
大陸ではこんなことが起る可能性は先ずありませんが、
それだけ台湾が民主化しているという
いいサンプルにはなるでしょう。
これでアジアで新しい扉の一枚目がひらかれたことになりますが、
だからと言って胸を撫でおろすのにはまだ早すぎます。
お互いに「胸に一物、手に荷物」ですから、
政治体制から外交や軍事に至るまで
妥協点に達するまでにはまだまだ時間がかかります。
でもお互いに錠前に手のかかったところですから、
決して悪い話ではありません。
このことは日本と中国の関係についても言えることです。
アメリカではじまった世界的な金融不安は
アジアの時代の
すがすがしい追い風になってくれるのではないでしょうか。
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