中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3174回
山東羅欣はダークホースではありません

山東省工場見学の一番最後は
臨沂市にある製薬会社の山東羅欣でした。
何しろ山東省でもずっと南の省境いにあるので、
バスに5時間も乗って本社に到着したのが夕方の5時半でした。
それから展示室を見てまわり、新しい工場を案内してもらって
董事長の劉保起さんの話をきいたのは
外が真っ暗になった午後7時になってからでした。
そして、その第一声が
「大切な株主の皆様にわざわざお越しいただいて」
でしたから、皆、一せいに喚声を上げて笑いました。
中国をずいぶんあちこち歩きますが、
株主を大事にしてくれる上場会社に出会ったのは
ここがはじめてなのです。

私とつきあうようになって、
日本人の気風を理解するようになったこともありますが、
株主の方でもそのことを承知しているので、
よほどのことでもなければ、持株を売ったりしません。
ですから周囲が安値まで投げ売りされている中で
依然として高値を維持しているのはごらんの通りです。
もちろん、景気の動向が激しく移り変わっている中で
ずっと好業績をつづけているからでもあります。

最高値6ドルをつけた株価が
瞬間的に2ドルを割る場面もありましたが、
下がるとすぐにも買いが入ります。
業績もずっと順調で、
昨年の時点で2008年は利益も60%増しの予定ですと
ことしのはじめ董事長さんがわざわざ上海まで来て
私たちの会で説明していましたが、
実際に発表された数字を見ると、第3期も50.55%の増益です。
薬屋は第4期が一番のかけ入れ時ですから
全年を通じて前年比予定の達成は朝飯前のことでしょう。

世界的な金融不安の中で、
中国は輸出の減退を国内消費で補うことになっていますが、
なかでも厚生分野は手堅くふえ続けています。
その中でも山東羅欣はもっとも堅実な成長を続けているので、
下げがあれば買いに出る投資家がたくさんいます。
とりわけ最近の山東羅欣は抗生物質を中心とした
新製品がふえていますから、
時代に合った手堅い拡張が続いています。
知ったがしまいですから、
その分だけ意外性がないので、
とびつき買いの対象にはなりませんが。


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2008年11月17日(月)

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