第3131回
ドルによる金融不安はまたくりかえします
アメリカのように
ドルに対する世間の信用があることを奇貨として、
ドンドンお札を印刷して当座の急に間に合わせることは、
借金をして毎月の生活費にあてるようなものですから、
ペダルを踏むのをやめた途端にひっくりかえってしまう
自転車操業と言っていいでしょう。
日本の政府も
年々30兆円ずつ赤字がふえる国家経営をしていますから、
あまり大きな口は叩けませんが、
日本の場合は国がそうしたやりくりをしているだけで、
民営企業の大半はそんなことをやれば
たちまち倒産してしまいますので、
そんなに心配するほどでもありません。
ところが、
アメリカでは国をあげて借金で暮らす方向にすすんできたので、
気がついたら借金のなかで暮らしを立てている人がふえています。
とりわけ銀行や証券会社などの金融機関は
庶民のお金を預かって
産業界に必要な資金を提供する立場にいるのに、
ドルを稼いだ外国人のお金を集めてきて
「付加価値を創造する」のではなくて、
「お金でお金を稼ぐ」ことに夢中になっているので、
会社の株を買ったり、
会社ごと買い占めてその積立金を吐き出させることによって
株価をあげたりすることにうつつを抜かしてきました。
挙句の果てに日本がドルを稼ぎすぎて
かつてあやまちを犯したように、
アメリカ国内の不動産を
実力以上に押し上げることに我を忘れたので、
日本で起ったと同じ大恐慌に襲われてしまったのです。
その影響は決して侮れないスケールまで拡がったので、
「これでこの世の終わりだ」
と驚きあわてる人もあるかも知れませんが、
預ったお金が返せなくなっただけで、
物づくりのシステムが破壊されたわけではありませんから、
政府が失われた分を補うだけのドルを印刷すれば
滞ったお金の流れがまた動きはじめます。
その間にお金を失った人と失わなかった人の差が生じますが、
金融機関が産業界の面倒を見る代わりに
お金でお金を生むことを再び続ければ、
また同じことをくりかえすことになるのではないでしょうか。
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