中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3130回
上げ相場だけで儲けることにしましょう

下げ相場になるとわかったら、
その時点で持株をきれいに売っ払ってしまい、
底になるまで待って、
次に上がりそうな株を物色すればいいじゃないか、
という人がいます。

そのくらいのことは株をやる人なら誰でも知っています。
でも実際にそんなに器用に動ける人は誰もいないのです。
先ず下げ相場になると予想できるなんて
株の名人と言われる人にだってできません。
実際に下げて見てはじめて
ベアの時代になったらしいとわかるのです。
その上、自分が持っている株はまだ業績も悪化していないし、
むしろこれから先、もっとよくなると考えて仕込んでいますから
売る気を起すわけもありません。
したがって大抵の人は自分がいいと思った株を抱いたまま
下げ相場を迎えるのです。
ですから上げ相場でも儲けて、
下げ相場でも儲けると言った器用な人は先ずいません。
上げ相場でも損をして、
下げ相場で損をする人ならいくらでもいるでしょうが。

ですから、株で儲けたい人は下げ相場の時は
ジーッと歯をくいしばって、
上げ相場の時だけどうやったら株で儲けられるか、
全精力を集中すべきです。
私は半世紀にわたって株式市場を見ていますが、
松下の株を売買した人だって、
本田やソニーの株を売買した人だって
会社を創業し経営してきた社長さんたちより
大金持ちになった人を見たことがありません。
どうして経営者の方が金持ちになったかというと、
松下さんや本田さんや盛田さんたちは社長であるために
どんな悪い時も株を売るわけには行かず、
ピンチに耐えてきたからです。
売りに売れずジッと耐えた人だけが金持ちになれるとすれば、
自分がこれは最優良株だと思った株をジッと持ちこたえられれば
それで目的を達することができるのです。

ですから投資家として成功したいと思えば
自分はそんなに器用に動けると思わないことです。
上げ相場に備えて
次の上昇期にうまく波に乗る株は何かをよく研究して
その株を枕にして寝ているだけで目的を達することができるのです。


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2008年10月4日(土)

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