第3015回
日本人にやれる仕事はたくさんあります
日本人のもう一つの特徴はカイゼンの精神のあることです。
カイゼンはトヨタ自動車の看板みたいになっていますが、
トヨタだけでなくどこの企業でも、どんな業界でも
少しでも使う人に便利なように工夫するのは
メイド・イン・ジャパンのお家芸に属します。
一頃のメイド・イン・ジャパンは
アイロンでもトランジスター・ラジオでもテレビでも
よく壊れました。
私が戦後、東京に住みはじめた頃、
町を歩いても目の届くところに
家電メーカーの修理サービス・センターがたくさんありました。
製品を国内だけに売っていた間はそれでよかったのですが、
世界中に売るようになると、
「ハイ、サービス・センターまで持って来て下さい」
と言うわけには行きません。
サービス精神を徹底すると、
壊れない製品をつくらなければならないようになります。
つまり日本人のサービス精神が
日本人に壊れない製品をつくらせるようになり、
更に欠陥の少いパーツをつくるきっかけになったのです。
つまり日本人のサービス精神と完璧主義が
日本に富と名声をもたらすようになったのです。
そういう環境に育つと、
日本人は自然にそうした気質を持つようになります。
日本人にとってはごく当り前のことですが、
海を渡って中国に行っても、更にアジアの他の地域に行っても、
そうした気質で生活を送る若者たちにはほとんど出会いません。
そういうところに日本人の若者を一人でも二人でも入れると、
俄然、目立ちますし、まわりの若者たちの訓練の役にも立ちます。
ですから現地でやっている仕事に、何の経験がなくとも
日本人としての気質を備えた青年が加わると、
たちまち見違えるほど雰囲気を変えることができるのです。
たとえばいま私が一番やりたがっている仕事は
中国の農産物の品質改善と差別化です。
中国人はミソもクソもごったにしてしまいますが
それを等級別にふり分けることのできるのは日本人だけなのです。
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