中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3002回
地震国育ちはこんなに違う

成都から百粁ほど離れた郊外の地域に震度8の大地震が起った時、
成都市内も大揺れに揺れたそうです。
私は早くから成都の開発にかかわり、
イトーヨーカ堂と伊勢丹の大家をつとめていますが、
当日は東京にいました。
グラッと揺れた次の瞬間には
もううちのスタッフの携帯電話から連絡があり、
どちらのビルにも損害はないけれど、
ヨーカ堂の棚の上の商品がドッと滑りおちて
いま店を閉めて片づけにかかっているところです
という報告がありました。

間もなく詳細な情報がテレビで報道され、
7.8(のちに8に訂正)の大地震で
損害もかなりのものであることがわかりましたが、
地震になった途端に
日本人と中国人の対応の仕方があまりにも違うので、
改めてお互いの違いを再認識したそうです。
日本人は地震に馴れているので、
グラりと来てもさして驚きません。
もっと揺れたら棚の上から物が落ちてくるおそれもあるし、
天井ごと落ちてくることもあるので、
とっさに机の下にもぐり込みます。
小さなスペースでも怪我をしないで息を吸うことができれば
一命をとりとめる可能性はあることを知っているからです。

ところが、中国人は家が倒れて自分が押しつぶされることを怖れて
一目散に建物の中からとび出そうとします。
とび出す方が危険で、
上から何が落ちてくるかわからないし、
家の中にいても外へとび出しても
怪我をする確率がうんと高いことを知らないのです。
私共のところは鉄筋コンクリートの新しい建物だし、
會社のトップが建築業者あがりで
鉄筋を組む時もきびしく監督をしていますから、
もしうちのビルが倒れたら成都中の高層ビルは
みな無事であるわけがないという自信を持っています。

ですから日本人は誰1人逃げ出さずに落着いていましたが、
働いていた中国人の従業員たちは
一目散に建物から飛び出しただけでなく、
おそれおののいて誰1人店に戻ってきませんでした。
同じ顔をしていつも仲好くお喋りをしていても
いざとなると、
こんなにも違うものかと
改めてびっくりしましたという報告を受けました。


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2008年5月29日(木)

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