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第2991回
台湾海峡で新しい歴史の一頁が

5月20日になると、
台湾では新旧総統の引き継ぎがあります。
8年ぶりに独立を指向する民進党から
大陸との協調を主張する国民党に政権交替することになったので、
8年続いた経済的沈滞から
脱することができるのではないかという期待で、
いま台湾中が沸き立っています。

日本には台湾の独立を支持する空気も強く、
なぜこんなことになったのか、
不可解の人も多いかと思いますが、
私はいつかこういう日が必らず来ることを予想して、
36年前に独立運動をやめて台湾に帰り、
台湾の経済成長にいくらかでも功献する努力をしてきました。
その少し前、
アメリカは蒋介石に「2つの中国ではどうですか」
と提案しましたが、
反攻大陸が念頭にあった蒋介石は「国連からの脱退」を選びました。

そのために台湾中がひっくりかえらんばかりの政情不安におちいり、
それまでお尋ね者扱いになっていた私に
民心安定のトランキライザーの役割をはたしてくれるように
お声がかかったのです。

私はこれで台湾独立の可能性はなくなったと判断しました。
時がたてば中国大陸の政権は勢いを増すばかりで、
いつか必らず台湾が呑み込まれる日が必らず来ます。
それまでに台湾の経済発展を進め、
対等の話し合いができる条件を築いておく必要があります。
そう考えて私なりに台湾に帰ってさまざまの提案をしたり、
努力をしましたが、
政治の第一線に立つことは思いとどまりました。
ですからその後、民進党を結成し、
政権を握った人たちは私から見たらずっと後輩で
一ぺんは権力の座にありついたかも知れませんが、
そう長くは続かないだろうと静かに見守ってきました。

民進党になってからの腐敗の総元締めは
陳水扁の奥さんが友人たちから領収書を集めて
国家の機密費を払い出したことにはじまっていますが、
これで台湾の独立運動は一巻の終わりと見てよいでしょう。
次にどういう展開になるかはこれからはじまるところですが、
世界中が見ていますので
大陸の一方勝ちということにはならないと私は見ています。


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2008年5月18日(日)

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