第2990回
株主を大事にする企業に肩入れを
国営企業あがりで株主の立場を
全く無視した経営をやっている企業はたくさんありますが、
個人経営からスタートして上場にまで漕ぎつけた民間企業の中にも、
株主の立場を後廻わしにする企業は少くありません。
その場合は、自分たちも大株主ですから、
株主を無視したというよりは、
株主の利益よりも経営を優先させたと言った方が正しいでしょう。
何しろ中国の政府も銀行も、
民間企業の経営には無関心で、
雨が降ったら傘を貸してくれることは先ず期待できません。
ですから「天は自ら助くる者を助く」の諺通り
自分たちで万全の措置をとるよりほかありません。
私とつきあいのある会社でも、
東江環保は百%以上の増益にも拘らず
無配にして拡大する設備資金の需要に備えたし、
常茂生化は減益にストップをかける応急対策に何とかやりましたが、
減益に直面して配当はやめてしまいました。
いずれも株主に対する配慮は後廻わしになって、
上場会社のトップをしては
まだ駆け出しにすぎないなあという印象を受けます。
それに対して、
自動車の部品づくりをやりながら、
オートバックスと同じ修理チェーンの展開に力を入れてきた
新焦点は二期続きのピンチにも拘らず、
前々期は20株に1株、
前期は40株に1株の株配を続けることによって僅かながらも
株主に酬いる決算をしています。
これは私のアドバイスを心よく受け入れてくれたからですが、
トップにそれだけの配慮があれば、
業績が快復すれば投資家の関心が集まり、
株価の足並みも一段と軽くなることが期待できます。
今期は部品の納入先も輸出から内需に大きく切りかわっているし、
修理チェーンが赤字から卒業して
いよいよかってのオートバックスと同じ成長を辿るとすれば、
年間1千万台の自動車がふえる中国の自動車業界で
新しい成長が期待できるのではないでしょうか。
株価は上場時に近いところまでおちこんでいますが、
私たちはこれから出発すると思えばいいのです。
自動車は新車の販売よりも
中古車の手入れの方がお金になる筈ですから。
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