第2980回
金融引締めはまだ緩む方向にありません
上海の株が高値の半額を割ったので、
さすがの当局も、
このへんで少し手綱をゆるめる必要があると思ったのか、
4月下旬になると株の売買にかける印紙税を
0.03%から0.01%に引き下げました。
それを歓迎するかのように、
上海も香港も一応は同調する姿勢を見せましたが、
あとが続きません。
誰一人これで株価は方向を変えたと見る人がいないからです。
サブプライム・ローンの躓きで
世界中の金融業が大きな損を蒙ったので、
ドルは下がる一方だし、
アメリカの景気の将来も危ぶまれていますが、
その影響を中国経済がまともに受けているわけではありません。
一番影響を受けているのは
外国投資家の投資の対象になっている香港株と
上海B株、深圳B株くらいなもので、
これだって中国企業の業績が悪化したわけではなくて、
優良中国株に投資してきた投信や投資銀行が資金ぐりに追われて
持株の投げ売りが続いているだけのことです。
投げ売りが一巡するまでにまだ少し時間がかかりますから、
回復にはそれなりの時間を要します。
しかし、それが一巡しても、
当局はすぐに手綱をゆるめる立場にはありません。
外貨がふえ続ける限り、
手綱をゆるめるとたちまち資産インフレが連鎖爆発を続けて、
株価も不動産の価格も、
更に上昇気運に乗ってしまうからです。
それを止めようとすれば、
究極的には外貨がふえるのをさしとめるよりほかありません。
そのためには人民元の切り上げを続ける以外に
手持ち外貨を減らす必要もあります。
いまのところ、
中国では2千億ドルの外貨を運用する
中国主権財富基金中国投資公司を設立してとりあえず
660億ドルの投資に乗り出したところですが、
人民元の大洪水を放置したまま国の手持ち外貨を
運用する挙に出ても、
国内の資産インフレの解決にはなりません。
国内の民間資金を吸収して
それを投資にさし向けるのでなければ、
所期の目的を達することはできないのです。
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