第2972回
前車の轍とわかっていても必らず
中国のA株が高値から半値まで下げたので
自殺者まで出る騒ぎになりました。
全財産の30万元をはたいて買った株が
5万元まで下がったために、世をはかなんで死んだのだそうです。
「政府として何か打つ手はないんでしょうか」
と広州日報の記者にきかれましたが、
「私にもできないことが、
政府のお役人さんにできるわけがありません」
と私は答えました。
政府が要求されていることは
「昨日の続きの今日は昨日より少しよくなっている」ことですが、
経済界も海と同じように波の高い低いもあれば、
嵐になることもあります。
いまは猛烈な輸出ラッシュで、毎月莫大な外貨が積み上げられ、
それに見合う人民元が溢れ続けていますから、
それにストップがかからない限り、資産インフレが続きます。
ありあまる人民元が不動産や株を買いにまわる以上、
上がるなという方がおかしいのです。
でも不動産や株があまり上がりすぎると、
社会にあたえる影響も大きいし、
とりわけその反動を政府は怖れます。
ですから不動産にも株にも
あの手、この手でストップをかけようとしますが、
ふえ続ける人民元にストップをかけない限り、
資産インフレは続きます。
しかし、人民元にストップをかけるためには、
貿易の黒字を減らすよりほかありませんが、
そうすると、人民元の切り上げをすることになります。
いままで輸出によって順調にお金儲けのできた輸出業者に
輸出ができないようにすることですから、
そんなことができるわけがありません。
結果として人民元の切り上げは延び延びになり、
物価は上がり、不動産や株価の値上がりがそれに続きます。
みんな日本政府がかつて経験したことです。
それがどんな結果になるのか、中国政府もわかっている筈です。
それでも思い切った人民元の切り上げに踏み込むことができず、
結局、中国政府も前者の轍を踏むことになるのです。
ですから愚図愚図しているうちに
地価も株価もジェット・コースターに乗ったまま
上がり続けることになるのです。
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