中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2969回
起るべくして起ったマネーゲームの後遺症

いま中国の投資家たちが一番不可解に思っていることは、
サブプライム・ローンの失敗によって
世界中の株が暴落しているなかで、
本来ならアメリカの株式市場が一番大きな影響を受ける筈なのに、
なぜニューヨークは20%下げただけなのに、
中国は50%も下げたのか、ということだそうです。

5ヵ月ほど前に華南地域で一番読者の多い広州日報が
わざわざ中国の経済や株式について
東京にいた私のところまでインタビューに来たことがあります。
「中国では皆がいつバブルがはじけるか心配しているが、
センセイはどう考えていますか」ときくので、
私は「やっと経済が全面的な上昇期に入ったばかりで、
マイホームを持っている人だって
まだ1割か、2割程度にすぎないから、
バブル期に突入すると言っても精々3合目くらいでしょう。
まだまだ成長は続き、資産インフレは続きます」と答えました。

新聞にのると、私のインタビューはずいぶん話題を呼んで、
広州の経営者の間でずっと議論の対象になったそうです。
でもそれから半年も経たないうちに
世界的な株価の大暴落が起り、
なかでもサブプライム・ローンと関係のうすい中国が
一番値下がりしているのはどうしてか、
と同じ記者たちが上海にいる私のところまで
再度のインタビューに押しかけてきました。

それに対して、もちろん、私の見方が変わったわけもなく、
既に10年前に「マネーゲーム敗れたり」の中で指摘したように
「アメリカの銀行も
もはや産業界に資金を提供する金融機関とは言い難く、
株式投資や為替の先物売買に
バクチの資金を提供する胴元になっているから、
投じた資金の回収ができなくなれば
日本の銀行が一足先に経験したことを
アメリカもまたくりかえすことになる」
それが漸く起ったというだけのことで、
予想外のことではないと私は説明しました。
本当にいつ起るか時日がわからなかっただけで、
予想外のことではなかったのです。


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2008年4月26日(土)

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