第2882回
このままだと外貨の大洪水になる
中国の2007年度の貿易収支は前年比47.7%増の
2622億ドルの黒字、
また外貨準備高は43.3%増の
1兆5300億ドルに達したと発表されました。
外貨準備の伸びだけで年間に4600億ドルあまりですから、
貿易収支でふえた分のほかに、
直接投資その他の目的で外国から送金されてきた金額が
約2000億ドルにのぼることがわかります。
これらの数字が示している通り、人民元の切り上げに拘らず、
中国の対欧輸出は一向に衰えを見せず、
サブプライム・ローンに端を発した金融不況にも拘らず、
ことしも同じ動きが続く功算が大きいと見られています。
かっての日本で
輸出ブームが世界中から批判の的になった時もそうでした。
円高で輸出にブレーキがかかることがわかれば、
輸出業者はコストダウンや品質の向上に全力をあげて対抗します。
結果として円高にも拘らず、
輸出は減らず、
株価は逆に空前の高値をつけました。
それと同じことが
いま中国で再演されていると見ていいのではないでしょうか。
したがって、
今年は米ドルが7元を割ることも視野のうちにありますが、
貿易黒字が更に1割や2割ふえる可能性は大だし、
外貨準備高が更に記録を更新することも
与件のうちに数えてよいでしょう。
そうなると、
国内における資産インフレを抑え込む金融引締めは更に続くし、
既にはじまっている物価抑制策も
一段と強化されることが考えられます。
それでもなお金あまりは続くので、
唯一有効な方法はお金の使い途を国内でなく、
国外に向けるように積極的に奨励するよりほかありません。
政府が主導して海外で投資をし、
国内では投信の形で
お金を吸収する方法も既にスタートしていますが、
政府主導ではタカが知れています。
かっての日本がそうだったように、
そうした海外投資を自由化するだけでなく、
積極的に奨励するのでなければ
外貨は貯まる一方というのがことし以後、
中国で起る最も可能性のある光景です。
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