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第2868回
借金より資産が値下がりして奈落の底へ

所得が発生すれば、それに応じて所得税がかかってきます。
にも拘らず所得税を回避しようとすれば、
脱税者の汚名を着せられてしまいます。
ところが、もし所得を発生させないで資産をふやすことができたら、
こんなうまい話はありません。
それが成長経済下の日本にはちゃんとあったのです。

簡単に言えば、借金を利用することです。
借金をして不動産を買うのです。
成長経済の下では土地は値上がりします。
何もしないでも土地の方で自分勝手に値上がりしてくれます。
仮に1億円の土地を買いたかったら、
3千万円自己資金をつくれば、
銀行が7千万円融資してくれました。
但し、そのためには銀行に信用のあること、
ほかに現金収入のある事業をやっていて、
銀行とお金の行き来があることが必要です。
西武や東急のトップはいずれもそうした条件を備え持っていました。
ですから、簡単に銀行からさまざまの名目で
お金を借りることができたのです。

1億円で買った土地はしばらくすると、
10億円に値上がりします。
すると、7千万円の借金を7億円に増額して、
ふえた6億3千万円でまた次の不動産を買うことができます。
不動産に次々と加工をして収入があるようになれば、
収入に対して所得が発生しますから
所得税がかかってきますが、
その金額が銀行の金利の支払いに間に合えば、
所得は発生せずに、
財産は地価が上がった分だけドンドンふえて行きます。
一頃の西武の当主たちが
世界のトップを行く大富豪に数えられたのも、
成長経済下の日本で借金をやれるだけやって、
資産をふやすことに専念したからです。

「ゼイキン報告」を執筆した頃は、
この方式の資産づくりが有効でした。
ところが、バブルがはじけると、
一転して資産が10分の1まで値下がりしたので、
この方法を成功させた神通力を一ぺんで失ってしまいました。
バカの一つ覚えで借金はできても方向転換のできなかった
日本の代表的な資産家たちは
たちまち没落してしまったのです。


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2008年1月16日(水)

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