第2860回
「うまい店」が不要では先が思いやられます
ことしの「邱永漢実務手帖」は
「ハイハイQさん」の関係だけで4千冊ほど売れました。
実際に「ハイハイQさん」を見ていただいている人に比べれば、
まだまだほんの僅かにすぎませんが、
私がお願いした甲斐があって、昨年に比べると長足の進歩です。
遅ればせながら、ご協力有難うございました。
新しく実務手帖をお使いになっている方の感想文を見ていると、
後尾についた私のすすめるうまい店のリストを
自分に用のないページと考える人が結構いるようです。
これには私の方がとびあがるほど驚いています。
というのもあれは地方の人が東京に来たり、
東京にいる人が地方に行った場合、
土地に不案内で行った先の人をご馳走したり、
自分たちが急に食事をしたくなった時に
人にきかなくても用が足せるようにという配慮から
出発したものです。
先ず同じところにだけいて、動きまわらない人は出世しません。
世の中の動きに全く関心がなく、
物を知るチャンスに恵まれなくなるからです。
次に食事に関心のない人は人と食事をすることも少く、
したがって人に面倒を見てもらうチャンスも、
また人の面倒を見るチャンスも少くなります。
そういう人は出世をするチャンスもそれだけ少くなって、
お金持ちになる見込みも立たなくなってしまいます。
貧しい家に育ったり、収入の少い人でも
将来、人の上に立ちたかったら、
私はなるべく人と食事をすることをすすめます。
ましてや自分より目下の人に気前よくしなければ、
誰も兄貴分と思ってくれません。
私は自分より目上の人でも、1回ご馳走になったら、
2回か3回ご馳走しかえすように心がけています。
そういう時に役に立つのがうまい店のリストです。
高い店ばかりが載っているわけではありません。
ふところに合わせて店を選べばよいのです。
それが要らないようでは視界が狭くなるので、
株をやってもうまく行かないのではないでしょうか。
方針を変えて下さい。
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