中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2824回
外人の顔色を見て日本株を買う日本人

東京証券取引所の1日の取引高のうち
60%が外国人買いになってしまったそうです。
ということは株価を決めているのは外国のお金で、
その動きを見て、
日本の投資家たちが右往左往しているということになります。

一体、いつからこんなことになってしまったのでしょうか。
ソニーやキヤノンは
日本を代表する大会社ということになっていますが、
その株主の大半が外資ということになると、
どれが日本人の会社か、どれが外国系の会社か
わからなくなってしまいます。
国際化がすすめばそうなることは避けられないことだし、
同じように日本人に実力があれば、
日本人がアメリカやヨーロッパに行って
M&Aをやることができます。
ですから外資を非難するのは時代錯誤だと言うことになりますが、
「日本人よ、もう少ししっかりしたらどうや」
と肩の一つも叩きたくなったとしても、
気が小さいなということにならないでしょう。

一体どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
日本経済が大へんな勢いでドルを稼ぐようになったのは
ついこの間のことだし、
外貨を稼ぎすぎたために、物価高と円高に見舞われて
生産基地がよその国に移りはじめたのもついこの間のことです。
それなのに、貯まりすぎたドルはアメリカに出稼ぎに行って、
同じように貿易黒字国からアメリカに出稼ぎに行ったドルを
アメリカの投資銀行や証券会社がかき集めて、
逆に日本の株と会社の買い占めをやっているのですから、
どちらがバカで、どちらが利口かということになると、
いささか首をひねりたくなるところまで来てしまいました。
ここへ来てやっとドルが値下がりするところまで来ましたが、
ドルが下がってから
アメリカの投信などに向っていたお金を回収したのでは、
痩せ細ってから可愛い我が子を呼び戻すようなものです。
日本人ももう少しドルとその背景をよく研究して
正しい対策をとる必要があるのではないでしょうか。


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2007年12月3日(月)

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