第2811回
日本的サラリーマン経営にガタが?
日本では企業主のサラリーマン化が一般化しているのに対して、
政界は世襲制に逆戻りしています。
政界が創業者制で、家業が世襲制ならまだ納得ができます。
ところが、経済界の変化には只ならぬものがあって、
30年もたつと昔と同じことをやっていては
経営が成り立たなくなります。
家業は次々と廃業に追い込まれたのはそのためです。
家業よりスケールの大きくなった上場会社や
それに準ずる非同族会社は、
下からエスカレータに乗って昇進してきたサラリーマンの中で、
上司からその才能を認められた運のいい人が
経営の舵を取るようになります。
その在任中に大きな過ちを犯さなければいいのですから、
社運を賭けるような冒険はできなくなるし、
逆にそれぞれの部署についた新しい幹部は
自分の功績をあげるために取引先、
わけても子会社や販売会社に無理難題を押しつけてます。
2年か3年ごとに同じ波が押し寄せるところを見ると、
2年か3年毎に人事異動があることがわかります。
こうしたサラリーマンによる会社経営は
政治の世襲化よりはいくらかましかも知れませんが、
組織を弱体化します。
かつて年功序列給と定年制は
従業員の会社に対する忠誠心を盛り上げる
日本的経営の長所とされましたが、
年功序列給では会社の人件費を賄いきれなくなったのと、
定年までいてもらったのでは
会社の経営が成り立たなくなったので、
バブルの崩壊と共に霧散してしまいました。
うっかりすると転職のできない者だけが
定年まで残ることになるので、
合理化のために
上層部が大なたをふるわなければならなくなります。
サラリーマン社長にそれができるかということになると、
制度としての弱体化が表面化して
淘汰の対象になるところまで来ているのです。
もしここで「原料高の製品安」と「景気後退による販売不振」の
大波が押し寄せたら、
経営がガタに直面することもあるのです。
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