中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2792回
世界中でお金の大移動がはじまります

世界はいまチャンピオンの入れ替わる季節にさしかかっています。
相撲だって横綱が入れ替わるのは
一場所や二場所で実現するわけではありません。
ですからサブプライム・ローンによる失墜くらいのことで
すぐにも選手交替には至りませんが、
大勢の赴くところは
どんな対策をとっても食い止めることができませんので、
私たちはそうした動きを勘定に入れて
自分たちの財布の中を守る必要があります。

ドルの失勢は先ず誰の目にも明らかです。
アメリカの貿易の赤字を
ドルの印刷によって帳消しにしているのですから、
アメリカ人全体が借金で生活をしているようなものです。
それでも事なきを得ているのは
ドルが世界通貨として通用しているからであり、
ドルを受け取った他国の人たちが
そのドルを使って物を買ったり、
投資ができる環境が続いているからです。
また受け取ったドルを
アメリカの金融機関に委託して投資をすると、
一応の利益をあげて
大なり小なりの配当や金利をもたらしてくれるからです。

しかし、そうした報酬をもたらすためには
アメリカの金融機関や投資会社が
継続的に利益をあげて行かなければなりません。
そのためにはアメリカ経済の成長が続くか、
経済の成長する地域へ投資対象を変える必要があります。
アメリカ国内における優良な投資先は殆んど開拓し尽され、
最終的に住宅開発に集中していた資金も、
返済能力の低い人々に無理に貸したお金が
住宅の暴落によって焦げついたところで莫大な損失を蒙って
身動きができなくなってしまいました。

もちろん、これですぐにも
チャンピオンの交換が起るわけではありませんが、
皆さんが予測するよりは深刻な後遺症が
アメリカ経済に続くだろうと私は見ています。
アメリカで景気の後退がはじまると、
物が売れなくなって長くあとを引くからです。
そうなると、アメリカに集まった世界のお金は
アメリカからアジアに動きはじめます。
既にその動きを、私はアジアの随所で見ています。


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2007年11月1日(木)

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