第2787回
中国料理のサービスも日本人の独壇場
私が中国大陸ではじめた事業は、
中国でお金儲けをすることよりも、
中国の経済が発展することを見込んで、
その発展にプラスするような捨石を打つことを心がけました。
ですから、外国から進出する企業のトップが住めるような
高級マンションとか、一流のオフィスビルとか、
さては公共投資がはじまったら忽ち必要になる
パワー・ショベルの生産工場、
更には流通サービス業の模範になるような
スーパーマーケットやデパートの誘致からレストラン、
コーヒーショップに至るまで、
多種多様の分野に手を出しています。
その中には、
1台売ったら300万元(4500万円)に達する建設機械もあれば、
1杯が20元にしかならないコーヒーもあります。
一体、どうしてそんなに手を拡げるのかときかれますが、
どの業種を見ても欠点だらけで、
品質不良のものもあれば、
サービスがなっていないものもあります。
さしあたり有名ブランドのコピーからはじまるのは
仕方ないとしても、
それならばサービスのやり方も見習ったらどうだ
と言いたくなります。
たとえば中国料理は中国独特のものですが、
サービスがちゃんとできているかというと
お客に皿や匙を投げてよこすとか、
受け皿が食べかすで山盛りになっても
見て見ぬフリをしている店がいまもたくさんあります。
こうしたサービスをなおすためには
日本人のマネージャをトップに据えて
服務員(これ中国語です)を監督するのが
一番だと思っていました。
それを何年もやりなおさせて遂に実現したのが
北京の三全公寓の中にある陶朱公館という中国料理店です。
陶朱公とは中国で金儲けの神様として崇められている
范蠡の別称ですが、
北京で1、2を争う味のよい店になるまで私が育てました。
中国料理は味も、もちろん、大切ですが、
料理を出す順序がそれに負けず大切です。
中国人がマネージャをやっていた間、
いくらうるさく言ってもそれが守られませんでしたが、
日本人になってから、
やっと食欲に合わせて料理が出てくるようになったのです。
嘘と思ったら、北京においでになった時、
一度試して見て下さい。
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