中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2772回
心電図がその結果を証明してくれました

上海の振国医院に入院した私は
癌患者の病棟ではなくて、
患者の身内が宿泊する賓館に連れて行かれました。
副院長さんと担当の女医さんと事務主任さんが挨拶に見えて、
それからすぐ看護婦さんが傍について
3時間にわたって点滴がはじまりました。
この点滴の1つには麝香液がありましたが、
あとの2つは表示がなかったので、私には何なのかわかりません。
ほかに3度の食事前に、
骨炎の薬と免疫増強液を飲むだけで、
3度の食事のメニューは病院の決めた病院食。
野菜を中心とした単調で味気がなく、
別に私だけが1週間、昼と夜と続けて
豚の血と苦瓜のスープを飲むよう強要されました。
塩気も辛子も砂糖もなく、
はじめはそれが病院の指定した食事だと思い込んでいましたが
実は料理人が満州の片田舎から出てきた
料理のことは何一つ知らないお姐ちゃんだったことがわかり、
途中から調味料を出してもらって
やっと生気をとり戻すという一幕もありました。

毎日きかれたのは「通じがあるか」ということで、
漢方で一番重視されているのが便通であることを
改めて思い知らされました。
1週間の最後の頃になると、
「どこか変化がありますか」ときかれましたが、
「腰の痛みが少し軽くなった」のと、
「足の運びが少し楽になった、
くらいのことで目立った自覚はありません」と正直に答えました。
「そうですね、1週間くらいでは無理かも知れませんね。
でも骨と免疫の薬はずっと飲み続けて下さい」
と言われて退院して新天地にある自分の家に戻り、
そして、次の日には東京の家に戻ってきました。

ところが、更に1週間すると、
足のしびれがだんだん軽くなり、
しびれが足首から先だけで感ずるように下がってきました。
そしてちょうど12日目に順天堂に行って、
心電図を撮ってかかりつけの心臓の専門医に診てもらったところ、
「おや、不整脈がなくなって、ずいぶんよくなりましたね」
と言われてこちらがびっくり。
むろん、漢方の手当を受けたことなどおくびにも出しません。
でも現金なもので、
そうなると足のしびれも日に日にうすれて行くじゃありませんか。


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2007年10月12日(金)

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