中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2752回
バイオの株がなぜ成長株になった?

そのまた次の成長株がバイオの常茂生化でした。
成長株探がしも3つ目になると、
「これから中国株もいよいよ成長株の時代になるぞ」
といやでも気がつくようになります。
ということは
「小さな会社で毎年のように売上げがふえ、
それにもまして利益のあがるところはどこだ」
ということを、
「中国企業情報」などをめくって探しているうちに、
業績の尻上がりになっている
小さな株が目につくようになってきたのです。

常茂生化は中国では珍しい食品や医薬品の添加剤をつくる
バイオ化学薬品メーカーで製品の70%以上を日本の味の素や
東レやアメリカのナビスコなど一流メーカーに輸出しています。
とりわけ2005年度は
売上げが2億元から3億元と約5割ふえたのに対して、
利益は3700万元から6800万元と83%も一挙にふえています。
もともとバイオは成功すれば利益率の高い業種ですが、
それが現実に数字に現われているということは
かなり先の楽しめる企業だということになります。
そこで80セントあたりから買いはじめましたが、
何しろこわごわやることですから、
大して株が集まらないうちに1ドルをこえて
あッという間に1.4ドルに達してしまいました。

上海から電話をかけてもらって常州の本社まで訪ねて行ったら、
菜葉服を着た人のよさそうなおっさんが出て来て、
私に東レから派遣されている
日本人のスタッフを紹介してくれました。
その人が董事長と総経理を兼任する芮新生さんだったのです。
「友達にも君んとこの株を買いたいんだが」
ときかれますが、
「そうだな、1ドル以下ならとあまりすすめていないんですよ」
と控え目な返事。
でも一緒に食事をしていた、
女性の秘書が
「どうしてうちの会社を見つけられたのですか。
うちの会社は将来性のある会社だと私たちは思っているのですよ」
とひそひそ話。
帰ってからボツボツ株を拾い続けましたが、
紆余曲折があっていまは4ドル台になってしまいました。
業績はまだ株価に追いついていませんが、
投資家なら誰でも知っている
中国の成長株の1つになってしまいました。


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2007年9月22日(土)

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