中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2724
投信の数がふえるほど儲けのチャンスは減る

前にも申し上げたことがありますが、日本は外来文化の輸入国です。
素敵なものであろうとなかろうと、
先進国の人たちのやることなら日本人はすぐにも取り入れます。
自分の国の企業が困ろうとどうなろうと、
アメリカで流行している物なら日本人はすぐにも流行させます。
ちょうど日本の商売人も
やることがなくて困りはじめたところですから、
アメリカで流行して、しかも結構、商売になっていることなら、
ほとんど無条件でニュー・ビジネスとして受け入れるのです。

村上ファンドやホリエモンはそのハシリですが、
楽天の東京放送株買いも同じ発想の真似と見てよいでしょう。
ですから、いま法律的にも、道義的にも問題にされている
アメリカ流の敵対的企業買収は
やがて日本人の間にも採り入れられて
金融事業の一つとして定着することが考えられます。
人の築きあげてきた資産を狙う禿鷹のようなファンドは、
人のお金を集めてやる事業の中でもほんの一部でしょうが、
「あなたの財産をふやしてさしあげましょう」
といって人のふところを狙う投資信託もどきの商売は
雨後の筍のような勢いでふえる筈です。
世の中が豊かになったからでなく、
お金儲けが尋常な手段では難しくなったからです。

したがって「お金儲けを手伝いましょう」
というビジネスがふえたからと言って、
お金儲けが容易になったわけではありません。
むしろお金儲けはいよいよ難しい方向に向っています。
とりわけアメリカや日本のように
高度経済成長の時代がすぎて企業意欲の低下している国では
人のふところにいきなり手を突っ込んでくる
あの手この手の商売がふえます。
そもそも自分のお金儲けもロクにできない人が
他人のお金儲けの手伝いができるわけがありません。
投信の数がふえればふえるほど
お金儲けのチャンスがふえるのではなくて、
お金儲けのチャンスが分散されるのですから、
話をきく前に先ず自分の財布をしっかりと抑えることです。


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2007年8月25日(土)

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