中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2709回
オリンピックの次はいよいよ中国の時代に

さて、またオリンピックの話に戻りますが、
オリンピックがあると、
どこの国でもさしあたり大きな目標ができるので、
オリンピック、オリンピックという掛け声で騒々しくなります。
まるでオリンピックが終ったら、
これでこの世のおしまいが来るようなポーズさえ目立ちます。
でもオリンピックが終ってもまだそのあとがあるのです。

アテネのような日本と遠い都会で
その後どうなったかというニュースはあまり聞こえてきませんが、
北京のオリンピックが終っても、
そのまま北京のニュースが途絶えてしまうわけではありません。
それどころか、
中国を中心としたアジアがアメリカにとって代わり、
世界の経済でますます大きな比重を占めるだろうことは
既定の事実ですから、
中国に対する世界の関心が
「オリンピックと共に去りぬ」
ということにはならない筈です。

恐らく人民元に対する世界中の目は
オリンピックの終わったあとの方が
一段ときびしいものになるでしょう。
人民元が中国の輸出入をほぼバランスさせるところまで
切り上がらない限り、
中国の不動産や株は強気によって支配されるので、
世界のお金は今日以上に中国に向って動こうとします。
そうした圧力をゆるめるためには、
中国人が中国からお金を持ち出すことを自由化するだけでなく、
それを奨励する必要があります。
従って、
かっての日本で、
日本人が外国に行ってお金を使うことをすすめるために
日本人の海外旅行を自由化したり、
お金の持ち出しを自由化したように、
中国でも中国人を海外旅行に追い立てる必要があるし、
お金を稼ぎたかったらドルを持って
ドンドン外国に行って下さいと奨励する時代がやってくる筈です。

かってアメリカ入国のビザが入手できたら皆から
「よかったね、おめでとう」
と言われていた中国人が世界中へお金をバラまきに行く時代が
もうそこまで来ているのです。
オリンピックを1つの契機として
中国人の国際的な活躍舞台が全世界に拡がるのです。
いまのお金の動きが
既にそうした新しい時代の到来を示唆しています。


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2007年8月10日(金)

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