第2690回
所得倍増が中国を一変させます
私は中国はこれから新しいエポックに入ると見ています。
どういうことかと言いますと、
1990年から10年に、中国人の収入は多分3倍に、
つまり平均月収が300人民元から1000元へ、
そして、次の2001年から2010年までに
1千元から3千元へと、向上するだろうというのが
私の20年前の予想でした。
私がそんなことを言っても専門家の人たちは
誰も賛成してくれませんでしたが、
2007年のいまの時点でふりかえって見ると、
大体、その通りの動きになっています。
2008年8月の北京オリンピックは約1年後に控えており、
北京はどこもその準備でごった返していますが、
ここへ来て中国の所得水準のスピードに
アクセルがかかってきた感じを受けています。
一つは貿易黒字が急増しているのに、
ドル減らしが思うようにすすまないために、
過剰流動性の増大による資産インフレにストップがかからないこと、
もう一つは沿海地域で人手不足が顕在化して
賃上げ斗争が全国的な風潮になりつつあること。
この2つが同時に起っているので、
北京オリンピックを一つの境いとして、
この2、3年で更なる所得倍増が実現する兆ざしが見えてきました。
ご承知のように、
中国は労働集約的な業種がまだ幅をきかせており、
貿易黒字の主導権もこうした業種が握っているので、
人民元の切上げによる収入減と
賃上げによるコスト・アップに対抗するための工場の大移動が
これからはじまるところです。
所得倍増の動きが出てくれば、
消費の増大と
生産過程におけるコスト・ダウン対策が同時に起りますから、
株価にも大きな変化が起ってきます。
物はどこでつくっても安いことが肝心ですから、
工場は恐らく人件費の安い西へ西へと動こうとするでしょうし、
売れるものと売れない物の入れかわりがはじまりますから
売れる物は何かという選択を間違えないことが
事業の成否を大きく左右します。
しかし、ふえる収入の使い途の中で一番大きいのは、
多分、「もっとお金をふやすこと」でしょうから、
お金の動きに気をつけておれば、
新しい時代にから置いてけぼりを食う心配は
先ずないでしょう。
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