中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2689回
株をやるなら時間の淘汰に耐える修行から

「もしもしQさん」はもうこれで7年あまり、
雨の日も風の日も一回も休まずに、
皆さんにお読みいただいております。
皆さんは私がその前日か、
前々日に書いたものと思って
お読みいただいているかも知れませんが、
私は旅行していることが多く、
旅先で書くことは滅多にありませんので、
ほとんどが10日前か、2週間前に書いたものです。

それでは急場の用に間に合わないじゃないか、
ホット・ニュースと行き違いになるんじゃないかと
ご心配になるかも知れませんが、
どんなホット・ニュースも時間がたてば、
ニュースでなくなってしまいます。
その時になってトンチンカンになってしまうような物の見方では
時間の淘汰に耐えて行けるわけがありません。
そう考えて2週間前、あるいはもっと前に考えたことでも、
ちゃんと読むに耐えられるように、
何十年もそういう熱さましをしてから
自分の書いたものを活字にしているのです。

ですから昨日、今日の相場の変動を問題にしたような捉え方とは
昔からずっと縁がありません。
私が話を途中でチョン切るから
腰がくだけてしまうと嘆く方がありますが、
3日や1週間ズレても
波の高さに戸惑うような物の見方はしないように
心がけているのです。
したがって掲載直前に書き直すのは、
その間に株価の位置が大きく変わっている場合くらいのもので、
大抵はそのままでとおっています。
3年や5年前に書いたものでも何とか読むに耐えるのも、
皆さんに読んでもらう前に
熱く打った鉄を一回さませているからです。

ですからもし私と相槌が打てないと嘆く読者があるとすれば、
「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、
私が鉄をさます工程を無視して
一ぺんに名刀を打ち上げようと息せき切るからではないでしょうか。
どんな名刀だってちゃんとした形をなすには時間がかかります。
「株の儲けはガマン料」というのも
株で儲かるために不可欠の精神修養ですが、
銘柄選びと併行して
時間の淘汰にどうやったら耐えられるかを研究することは
とても大切なことなのです。


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2007年7月21日(土)

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