第2661回
株式ブームはやっと始まったばかり
最近の新聞を見ると、
中国で猛烈な株式ブームに突入していることが
しきりに報道されています。
証券会社に口座をつくるために夜中から証券会社の前に行列ができ、
その順番待ちをやって日当を稼ぐ人もあるし、
一日に30万人ずつ口座を持つ人がふえて、
遂に一億口をこえたそうです。
また日本の新聞ではさすがに報道されていませんが、
多くの工員が株をやれるように、
1日に1時間ばかり、株をやるための
休憩時間を設けるようになった工場もたくさんあるとか。
とにかく株キチガイが激増していることは、
株式ブームをひき起す背景と共に、
さもありなんと思わせるものがあります。
もともと中国人は賭け事の好きな国民です。
マージャンやっても、カードやっても必らずお金を賭けます。
それでは身を滅ぼすというので、
マージャンやトランプを禁じたこともありますし、
収入の少い間は賭けても大したことにならずにすみました。
ところが、この1、2年、賃金が上昇する方向に動きはじめると、
浮いた分はお金をふやす方向に投じる人がふえています。
それも貯金をするだけでは満足せず、
不動産を買ったり、株に入れあげるようになりました。
不動産はかなりまとまったお金が必要ですが、
株なら何万元といったところからでもはじめることができます。
その上、相場が刻々変わりますから、
その日のうちに買って売ることもできます。
それがわかると、
もうまともに仕事をやっておられないという人がふえ、
中国じゅうがカジノ化する方向に向っています。
株に対する知識が皆無で、
株式市場がどういう仕組みになっているかさえ
知らない人が大部分ですから、
そういう人は痛い目にあわせないと、
「株はおもちゃじゃないぞ」と悟らせる方法がありません。
証券取引税を引き上げて株価を暴落させるのは
そうした警告の第一弾と見てよいでしょう。
しかし、そのくらいのことで懲りない国民ですから、
この舞台、そう簡単に幕は下りません。
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