中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2657回
観光ビジネスに成長産業は少い

19年前、私がはじめて中国を訪れて、
北京でかつて四つの経済特区を発案した
副総理の谷牧さんと人民大会堂で会見した時、
「将来、中国の経済が発展したら、
観光業は中国の稼ぎ頭の一つになりますね」と言ったら、
「本当に私もそう考えているのですよ」
と相槌を打たれたことがあります。
中国は広大なところですから、
観光資源が豊富で世界中から観光客を集めることができます。
その頃は飛行機に乗る人は外国人くらいしかいなく、
大半の中国人は汽車に乗って
何十時間もかけて目的地まで出かけていました。

ところが、工業化がすすみ、
輸出によって猛烈に外貨を稼ぐようになると、
一人一人のふところ具合が改善されて、
飛行機や一流ホテルを利用する中国人もふえたし、
年に3回の大きな休み、旧正月、5月の労働節、
10月の建国記念日の休みになると、
沿海地域に出稼ぎに来ている何百万人という人たちが
一せいに里帰りをするので、交通機関は麻痺してしまいます。
同じ休みを利用して沿海地域に観光旅行に来る人もあれば、
沿海地域の人たちが奥地にある名所旧跡に押しかけるので、
観光地はどこも人海で埋まってしまいます。
昔はたまの休みに旅行でも行きましょうかと言っていたのが、
いまでは切符どころか、
ホテルの予約もままならぬ状態になってしまいました。

国を越えて出稼ぎに来ている外国人もふえる一方なので、
連休は日本人や韓国人や台湾人にとっても
里帰りのシーズンでもあります。
飛行機の座席を確保するのも容易でないし、
現地の商売も常連がいなくなって大きな影響を受けます。
かつて私は
「連休は自分たちにとって
旅行シーズンでなくなってしまうから、
観光が盛んになったら儲かる株を買って
無念な気持を抑えるよりほかない」
といってトラベルスカイの株を買いましたが、
どちらもその通りになって旅行もできなくなったけど、
トラベルスカイの株も大きく値上がりをしてくれました。
日常生活における変化はそのまま株価にも反映する、
これはいい例ですね。


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2007年6月19日(火)

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